2012年7月~9月

 

日程

 

Journal Club

 

Progress report

 

 

(8:30~9:30)

 

(9:30~12:00)

 2012年(平成24年)

 

 

Group-1

 

Group-2
9/28(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Identification of a genetic locus controlling bacteria-driven colitis and associated cancer through effects on innate inflammation
    Olivier Boulard, et al.

    J. Exp. Med. 209: 1309-1324, 2012(July)
  • 要約:腸管の慢性炎症は大腸がんへと進むリスクを高める。最近の研究から、その遺伝的な要因に注目が集まり、複雑な大腸炎の病因が解明され始めている。しかしながら、大腸炎から大腸がんに至る遺伝的要因はわかっていない。本研究で著者らは、129.Rag-/-マウスにおいて、Hiccs と呼ばれる遺伝子領域がHelicobacter hepaticus 感染で発症する大腸炎と大腸がんの感受性を決定することを見出した。8つの遺伝子と5つのマイクロRNAを含む1.7Mbの第3染色体上の領域が、マウスの大腸炎感受性と、腫瘍の発症頻度と数を制御する。骨髄キメラの実験から、大腸炎に対する抵抗性は、血球系の細胞により付与されることがわかった。さらに、Hiccs 領域は、サイトカイン産生を調節し、自然免疫系のThy1陽性リンパ球による顆粒球の誘引を促して、自然免疫系の炎症応答を制御することが示された。Helicobacter hepaticus 慢性感染と発がん物質アゾキシメタンを併用する腫瘍誘導モデルの解析から、大腸炎と関連する異常組織(neoplasia)の発症頻度もHiccs 領域が制御することが明らかとなった。本研究は、自然免疫系の細胞とその遺伝的背景が、炎症から腫瘍へと進行する過程において重要な役割を果たすことを明らかにしたものであり、ヒトの炎症性疾患から腫瘍が派生する機構の解明に道を開くものである。
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
  • 池田
  • 高松
  • 今村
9/7(金)
  • 担当者:塚本 博丈
  • 論文:Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)α and -γ regulate IFNγ and IL-17A production by human T cells in a sex-specific way
    Monan Angela Zhang, et al.
    Proc Natl Acad Sci USA 109: 9505-9510, 2012(June)
  • 要約:生体内の炎症反応は、自己免疫疾患、感染症、がんなどの様々な病態に関与しており、炎症反応とそれぞれの病態との関連性の、分子生物学的メカニズムが解明されつつある。近年、炎症反応の制御に関わる分子として注目されている核内受容体Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)について、特にCD4+T細胞の機能、性質におけるPPARの役割についての論文を紹介する。男性に比べ、女性では自己免疫疾患の発症率が高く、症状の程度が重篤化しやすい傾向にある。さらに、本論文で筆者らは女性のCD4+T細胞は、男性のそれに比べ、IFN-g産生性のTh1分化への偏向が強く、逆に、男性のCD4+T細胞は、女性のそれよりTh17に分化しやすい傾向があることを示している。この現象は、マウスのSJL系統でも強く見られ、このエフェクターT細胞の分化における性差は、男性ホルモン(アンドロゲン)、および (PPAR)aおよびgの発現の違いによるものであることを見出した。このことから、CD4+T細胞において、アンドロゲン刺激はPPARaの発現を上昇させ、PPARgの発現を減少させることが分かった。さらに、siRNAを用いた検討では、PPARaをノックダウンした♂CD4+T細胞でのみ、IFNg産生能が上昇し、PPARgをノックダウンした♀CD4+T細胞でのみ、IL-17Aの産生能が上昇することが観察された。以上のことから、CD4+エフェクターT細胞の機能的分化、特にTh1細胞とTh17細胞分化における性差は、PPARaおよびgの発現により制御されていることが示唆された。最近、別のグループから、脂肪組織に特異的に存在するFat-Tregの分化、維持においても、PPARgが重要な役割を果たすとの報告がなされ、免疫システム、特にT細胞に関連する炎症反応におけるPPARの機能制御の応用が期待される。
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 西方
  • Sayem
8/31(金)
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 今村
  • 冨田
  • 湯野
8/24(金)
  • 担当者:冨田 雄介
  • 論文:Antigen Spreading Contributes to MAGE Vaccination-Induced Regression of Melanoma Metastases
    Veronique Corbiere, et al.
    Cancer Research 71: 1253-1262, 2011(Jan.)
  • 要約:癌免疫療法研究において、ワクチン療法で効果のあった癌患者を解析することは重要である。著者らは以前、MAGE抗原に対するワクチン療法を行い、腫瘍縮小効果が得られたメラノーマ患者における解析で、ワクチン抗原に対するCTLがほとんど血中に存在しないことを示した。TCRβcDNAライブラリーを含む遺伝学的手法を用いることにより、縮小した転移巣においても抗ワクチン抗原特異的CTLが存在しないことを証明した。しかし、いくつかの非ワクチン抗原に対して特異的なCTLクローンがワクチン抗原よりもはるかに多く存在することを示した。これらの結果は、antigen spreadingが転移部で起こっていることを示唆する結果である。今回の研究では、これらとは異なるTCRを有する腫瘍特異的CTLが、ワクチン接種後においてのみ転移部と血液中に検出されるようになった症例の解析結果を示す。著者らは、TCRβsequenceを患者の転移リンパ節から腫瘍特異的T細胞クローンを検出するために用いた。得られたCD8陽性クローンは自己由来のメラノーマ細胞株に対して細胞傷害活性を有しており、HLA-A2拘束性を示した。標的抗原は、mitochondrial enzyme caseinolytic proteaseであることを同定し、CTLクローンが認識する配列には変異が起こり、新たな抗原となっていることを証明した。さらに、IFN-γ処理により、immunoproteasomeにおける効果的な腫瘍抗原プロセッシングを介して、このCTLクローンのメラノーマ細胞株に対する細胞傷害活性は著明に上昇することを示す。これらの結果は、腫瘍拒絶に関わるエフェクター細胞は、実際は非ワクチン腫瘍特異抗原に対するCTLであるとの仮説を支持する結果である。そのようなターゲットとなる抗原の中で、変異抗原に対しての特異的CTLはワクチン接種前には検出されなかった。著者らは今回の報告で、真に腫瘍特異的な抗原に対してのT細胞のantigen spreading が起こることこそが、腫瘍の拒絶に決定的に貢献しているのではないかという考えを提案する。
  • 塚本
  • Sayem
  • 西方
  • 矢津田
  • 黒田
8/17(金)
  • 担当者:湯野 晃
  • 論文:CD4+ T Cells Rely on a Cytokine Gradient to Control Intracellular Pathogens beyond Sites of Antigen Presentation
    Andreas J. Muller, et al.
    Immunity 37: 147-157, 2012(July)
  • 要約:エフェクターT細胞は感染の局面で病原体を排除するのに重要である。細胞障害性CD8陽性T細胞のように、CD4陽性ヘルパーT細胞はエフェクター分子を免疫シナプスに運ぶと考えられており、エフェクターシグナルを受け取るためには感染細胞が各々感作される必要があると唱えられてきた。これに反して、著者らはin vivoにおいてCD4陽性ヘルパーT細胞は感染細胞の少数と安定して接触することで、近傍の細胞に防御機構をもたらすことができると示している。機能的な解析を行うことで、この近傍の細胞へのエフェクター作用は免疫シナプスを超え80μm以上離れてIFN-γが拡散し、免疫シナプスの形成されていない部位においても病原体の排除を促進した。このようにCD4陽性ヘルパーT細胞は感染細胞の少数と接触することで防御機構を発揮することができる。
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
  • 池田
  • 高松
8/10(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Development of Defective and Persistent Sendai Virus Vector
    A UNIQUE GENE DELIVERY/EXPRESSION SYSTEM IDEAL FOR CELL REPROGRAMMING
    K. Nishimura, et al.
    The Journal of Biological Chemistry 286: 4760-4771, 2011(Feb.)
  • 要約:iPS細胞は外来の遺伝子を導入して作製されているが、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを使用した場合、一旦組み込まれた遺伝子を除去することは非常に困難であり、また遺伝子を導入された細胞が癌化する危険性があった。そこで今回前生活環を通してRNAの状態で存在し、染色体ゲノムへの組み込みによる挿入変異や染色体の構造変化を惹起する恐れのないセンダイウイルスベクターを用いてiPS細胞を作製した。従来のレトロウイルスベクターを用いてiPS細胞を作製した場合と比較し、センダイウイルスベクターを用いた場合、100倍程効率よくiPS細胞が作製できた。さらにsiRNAを用いることで細胞内からセンダイウイルスの遺伝子を完全に除去することができ、導入した遺伝子によって細胞が癌化する危険性も限りなく低い。以上のことからセンダイウイルスベクターは遺伝子導入のツールとして安全かつ効率的であり、基礎研究、医療の発展において重要性が増してきている。
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 平山
  • 西方
  • Sayem
7/30(月)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:The DC receptor DNGR-1 mediates cross-priming of CTLs during vaccinia virus infection in mice.
    Salvador Iborra, et al.
    The Journal of Clinical Investigation 122: 1628-1643, 2012(May)
  • 要約:以前より、樹状細胞にはC型レクチンレセプターのひとつであるDNGR-1(CLEC9A)が存在しており、DNGR-1は死細胞をリガンドとし、cross presentationに関与しているということが報告されてきた。今回著者らは、マウスもしくはマウスの細胞にvacciniaウイルスを感染させ、細胞傷害性のウイルス感染におけるDNGR-1の果たす役割をin vitro、in vivoで検証した。その結果、DNGR-1を欠損させた樹状細胞ではcross presentationの能力が低下し、CTLの活性化が障害されるだけでなく、ウイルス感染部位の治癒やCTLによる二次応答にも影響を与えることが分かった。以上のことから、DNGR-1は、細胞傷害性のウイルス感染に対するCTLの反応に重要な役割を果たしており、DNGR-1が細胞や組織の損傷を感知することで適切な免疫応答が誘導されていることが示唆され
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
7/20(金)
  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:Marginating Dendritic Cells of the Tumor Microenvironment Cross-Present Tumor Antigens and Stably Engage Tumor-Specific T Cells
    John J. Engelhardt, et al.
    Cancer Cell 21: 402-417, 2012(March)
  • 塚本
  • Sayem
  • 西方
  • 矢津田
  • 黒田
7/13(金)
  • 担当者:高松 孝太郎
  • 論文:Comparison of polarization properties of human adult microglia and blood-derived macrophages
    Bryce A. Durafourt, et al.
    GLIA 60: 717-727, 2012(May)
  • 要約:中枢神経に生来存在するミエロイド細胞であるミクログリア、末梢血液から中枢神経に浸潤するマクロファージは、ともに中枢神経における炎症反応に関与している。マクロファージは、M1、M2 の表現型に分化することが知られており、それぞれの表現型は炎症に関与する分子や貪食作用において異なる性質を有している。本論文では、中枢神経から分離したミクログリアと末梢血液細胞由来の単球をM1およびM2に分化させて、表現型と機能について比較検討している。M1フェノタイプ誘導条件下において、ミクログリア、マクロファージ共にM1マーカーであるCCR7、CD80を発現した。M2 フェノタイプ誘導条件下では、ミクログリアはM2マーカーであるCD209は発現したもののCD23、CD163、CD209といったM2マクロファージが発現するマーカーは認めなかった。サイトカイン産生では、M1ミクログリア、M1マクロファージはともにIL-12p40を大量に産生しており、M1ミクログリアはM1マクロファージより多くのIL-10を産生した。M2コンディション下では、ミクログリア± LPS はIL-10をM1コンディションと同レベルで産生、M2マクロファージは、LPS刺激によりIL-10を産生した。ミエリン貪食能は、いかなる条件下においてもマクロファージよりミクログリアが優っていた。ミクログリア、マクロファージ共にM2条件下でより貪食能が増加していた。これらの結果は、中枢神経における炎症反応において、ミクログリアと末梢から遊走するマクロファージでは異なる反応を示すことを示唆している。
  • 冨田
  • 羽賀
  • 湯野
  • 池田
  • 高松
7/6(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:Tumor-Derived Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor Regulates Myeloid Inflammation and T Cell Immunity in Pancreatic Cancer
    Bayne, L. J. et al.
    Cancer Cell 21: 822-835, 2012 (June)
  • 要約:特に膵管腺癌において、腫瘍による炎症は、免疫反応の障害となることが知られている。Gr-1+CD11+細胞は、抗原特異的T細胞の機能を抑制することが知られており、膵管腺癌においても、腫瘍免疫の鍵となると細胞であるが不明な点も多い。本論文で、著者らは、膵管腺癌を発症する遺伝子改変マウスモデルを使い、Gr-1+CD11+細胞の発生には、腫瘍で産生された顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が、必要かつ十分であることを示した。生体内において、腫瘍由来のGM-CSFを抑えると、Gr-1+CD11+細胞の腫瘍部への浸潤が抑えられ、それに伴い、CD8+T細胞も抗腫瘍効果を発揮できるようになり、腫瘍の増殖も抑えられた。さらに遺伝子改変マウスモデルに留まらず、ヒトの膵管腺癌でもGM-CSFが顕著に発現していることが明らかとなった。以上のようなことから、腫瘍由来のGM-CSFは、腫瘍による炎症および免疫抑制において、重要な制御因子となっていることが考えられる。

 

  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田

 

  • 西方
  • Sayem

 

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