2012年4月~6月

 

 

 

 

日程

 

 

 

 

Journal Club

 

 

 

 

Progress report

 

 

 

 

 

(8:30~9:30)

 

 

 

 

(9:30~12:00)

 2012年(平成24年)

 

 

 

 

 

Group-1

 

 

 

 

Group-2

6/29(金)

 

  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:Stat3 and Gfi-1 transcription factors control Th17 cell immunosuppressive activity via the regulation of ectonucleotidase expression
    Funny Chalmin, et al.
    Immunity 36: 362-373,2012(March)
  • 要約:腫瘍におけるTh17細胞の役割については、抗腫瘍効果を有すると報告している論文がある一方で、腫瘍の進展に関与していると報告している論文も存在する等、相反する報告が幾つも存在しており、一定の見解は得られていない。著者らは、この原因としてTh17細胞にはエクトヌクレオチダーゼであるCD39とCD73を発現するTh17細胞と、両者を発現していないTh17細胞の2つのサブセットが存在しており、このことが癌に対するTh17細胞の効果の解釈を困難にしている可能性があると報告している。実際、CD39とCD73を発現しているTh17細胞は、担癌個体に対してCD8陽性T細胞の機能を抑制することで、癌の進展に関与していた。また in vitro の場合、IL-6とTGF-βの存在下でナイーブT細胞を培養すると、CD39とCD73を発現するTh17細胞が誘導されるのに対し、TGF-β非存在下 (IL-6,IL-1β, IL-23)で誘導されたTh17細胞は両者を発現していなかった。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
6/22(金)

 

  • 担当者:矢津田 旬二
  • 論文:Monoclonal TCR-redirected tumor cell killing
    Nathaniel Liddy, et al.
    Nature Medicine 18: 980-987, 2012(June)
  • 要約:少数のがん患者では、T細胞免疫が悪性細胞を根絶して臨床的寛解に至る場合がある。しかし、がん患者の大部分では、T細胞受容体(TCR)が介在する特異的免疫認識や免疫活性化過程が起こらない。本論文では、免疫動員性抗がんモノクローナルTCR(immune-mobilizing monoclonal TCR against cancer:ImmTAC)と命名した新しい試薬の設計・作製と特性解析について報告する。作製した4種類のImmTACは、それぞれ異なる腫瘍関連エピトープ特異的モノクローナルTCRからなっていて、TCRはピコモル単位の親和性を持ち、ヒト化CD3特異的単鎖抗体フラグメントと融合させてある。これら4種類のImmTACは、T細胞の標的を効果的に転換させて、エピトープの細胞表面発現密度が非常に低いがん細胞を殺傷させた。さらに、これらの試薬 は in vivo で腫瘍増殖を強く抑制した。したがってImmTACは、がんに対する免疫寛容を克服可能な、腫瘍免疫療法の新しい手法となる。
  • 塚本
  • Sayem
  • 西方
  • 矢津田
  • 黒田
6/15(金)

 

  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Intestinal CX3C chemokine receptor 1high (CX3CR1high) myeloid cells prevent T-cell-dependent colitis
    Hisako Kayama, et al.
    PNAS 109: 5010-5015, 2012(March)
    (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)
  • 要約:体内に侵入する病原体に対して、CD4+ T細胞が適切に活性化されなければ、生体を防御することはできない。しかし、エフェクターCD4+ T細胞の過度の活性は、組織破壊を引き起こし、潰瘍性大腸炎のような炎症性疾患の発症に至る。腸管に特徴的な免疫細胞がいくつか見出されているが、自然免疫系の免疫細胞が、T細胞依存性腸炎の抑制に、直接関与するのかどうかは定かでない。本論文で著者らは、腸管のCX3Cケモカインレセプター1high(CX3CR1high)CD11b+CD11c+細胞が、T細胞応答を抑制することにより、腸炎を防ぐことを見出した。CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞は細胞接触依存性にT細胞の増殖応答を抑制して、T細胞依存性大腸炎を抑える。その抑制活性の発揮には、IL-10/Stat3シグナルを必要とする。CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞によるT細胞増殖抑制は2つのステップからなる。すなわち、1) CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞は細胞接着分子ICAM-1/VCAM-1を高発現して、他のAPCよりも強くT細胞と会合し、2) CD80/86の発現を欠くためにT細胞を活性化しない、というものである。ミエロイド系細胞特異的にStat3の発現を欠損するマウスに、野生型CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞を移入すると、大腸炎の進行が緩和される。以上より、CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞は腸管の恒常性維持を担う、ミエロイド性制御性細胞であることが示された。
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
6/8(金)
  • 担当者:塚本 博丈
  • 論文:Ovarian cancer progression is controlled by phenotypic changes in dendritic cells.
    Uciane K. Scarlett, et al.
    Journal of Experimental Medicine 209: 495-506, 2012(March)
  • 要約:樹状細胞(DC)は、生体内で免疫応答を誘導するために、最も重要な細胞ひとつであり、腫瘍の増生にも大きくかかわっている。抗腫瘍効果を持つT細胞を生体内で賦活する目的で、DCを用いたワクチン療法は実用化されつつあるが、担癌固体内でのDCの表現型は様々で、その起源、成熟具合、サイトカイン環境によって、T細胞に対する効果は大きく異なることが知られている。
    本論文で、筆者らはゲートキーパーであるp53の欠失とオンコジーンであるK-Rasの過剰発現を利用した新たな卵巣がん自然発症モデルマウスを作製し、これを用いて担癌固体内のDCの質的変化について検討した。その結果、腫瘍発生初期に腫瘍組織に浸潤するDCは、腫瘍特異的T細胞に対する刺激活性を有しているが、腫瘍が進展する時期の腫瘍局所のDCでは、そのT細胞刺激活性が大きく低下していた。さらに、そのDCはT細胞の増殖、およびIFN-g産生を妨げる免疫抑制性の表現型を示すことを見出した。両者のDCを比較すると、MHC-II、CD40の発現低下、およびPD-L1の発現上昇が観察された。実際に、腫瘍発生初期にin vivoにおけるDCを除去した場合、腫瘍の進展は促進されたが、一方、腫瘍の発生後期にDCを除去した場合には、腫瘍進展の程度は減弱した。
    また筆者らは、これらの免疫抑制性の表現型を示すDCを誘導する因子について検討を行ったところ、腫瘍が産生するPGE2およびTGF-bが、DC上のPD-L1の発現上昇を促し、T細胞の増殖応答を抑制する抑制性DCを誘導する原因であることを見出した。
    これらのことから、担癌個体における免疫抑制状態の一部は、腫瘍細胞と担癌個体の免疫担当細胞との相互作用によるDCの質的な変化が原因で起こることが示唆された。
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 西方
  • Sayem
5/25(金)
  • 担当者:西方 龍太郎
  • 論文:Transcriptional Control of Rapid Recall by Memory CD4 T Cells
    Wendy Lai, et al.
    Journal of Immunology 187: 133-140, 2011(June)
  • 要約:メモリー T 細胞は、ナイーブ T 細胞に比べ, 早期にサイトカインを産生する特徴がある。しかしながら、このメカニズムは明らかにされていない。著者らは、抗原特異的メモリー CD4 T細胞による早期のIFN-γ産生に対する転写メカニズムを研究した。ナイーブ CD4 T 細胞では、抗原刺激後数日でIFN-γの産生が起こった。また、Th1への分化に必要な転写因子であるT-betの発現とクロマチン免疫沈降法によって評価されたIFN-γのプロモーターに結合しているT-betはIFN-γの産生と付随した。対照的に、メモリーCD4 T 細胞による早期のIFN-γ産生には、核内でのT-betの発現もしくはT-betのIFN-γのプロモーター領域への結合が欠如していた。著者らは、ナイーブ CD4 T 細胞と比較して、刺激後のメモリー CD4 T 細胞で、早期にNF-κBの転写活性とNF-κBのIFN-γプロモーターへの結合の誘導を確認した。さらに、NF-κBに対する阻害剤の処理もしくはNF-κB p50の核への移行の阻害はメモリー T細胞のTCRを介したeffector functionを抑制した。著者らの結果は、NF-κBの活性化とIFN-γのプロモーターへの結合が増強されることによって、メモリー T 細胞の recall responseが早期に起こることを明らかにした。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
5/11(金)
  • 担当者:冨田 雄介
  • 論文:Analysis of Spontaneous Tumor-Specific CD4 T-cell Immunity in Lung Cancer Using promiscuous HLA-DR Telomerase-Derived Epitopes: Potential Synergistic Effect with Chemotherapy Responce
    Yann Godet, et al.
    Clinical cancer research 18: 1-11, 2012 (May)
  • 要約:著者らは、テロメラーゼ特異的CD4陽性T細胞が肺癌患者の体内に自然に存在し、臨床経過に影響を与えているか解析を行った。まず、複数の発現頻度の高いHLA-DR分子に結合することができるテロメラーゼ由来の4つのペプチドをBinding assayを用いることにより同定し、肺癌患者由来のPBMCからテロメラーゼ特異的CD4陽性T細胞クローンを樹立した。これらのクローンはTh1型のサイトカインを産生した。また、84人の非小細胞肺癌患者において、同定したテロメラーゼペプチドに対して特異的CD4陽性T細胞が化学療法開始前の患者の末梢血に存在するかIFN-γELISPOT法を用いて解析を行った。その結果、38%の肺癌患者に優位にテロメラーゼ特異的CD4陽性T細胞反応を検出することができたが、健常人では有意な反応は検出できなかった。さらに、この抗癌剤治療開始前の患者末梢血中に存在するテロメラーゼ特異的CD4陽性T細胞反応が、抗癌剤に対する反応の有無と関連して治療後の予後に影響を与えるか解析を行った。結果、治療開始前に特異的T細胞が存在し、抗癌剤治療に反応した患者群においては全生存期間は有意に延長した。これらの結果は非小細胞肺癌患者において、抗癌剤治療とテロメラーゼ特異的CD4陽性T細胞が相乗効果を示していることを示す最初の報告であり、日常的に行われている抗癌剤治療の効果に対して、腫瘍特異的CD4陽性T細胞が潜在的な役割を担っている可能性を示唆する結果である。
  • 塚本
  • Sayem
  • 西方
  • 矢津田
  • 黒田
4/27(金)

 

  • 担当者:湯野 晃
  • 論文:NKG2D signaling on CD8+ T cells represses T-bet and rescues CD4-unhelped CD8+ T cell memory recall but not effector responses
    Andrew Zloza, et al.
    Nature Medicine 18: 422-428, 2012(March)
  • 要約:CD4ヘルプを受けていないCD8 + T細胞は、CD4 + T細胞ヘルプがない状態でプライミングを受けた、機能に欠陥があるT細胞である。CD8 + T細胞のNKG2D(natural-killer group 2, member D protein)は共刺激的に働くと考えられるので、このような免疫学的に無力な細胞を回復させる能力について調べた。プライミング時のNKG2Dを介す る共刺激の増強により、記憶CD8 + T細胞応答は回復されるが、エフェクター応答は回復されないことが明らかになった。NKG2Dを介した回復は、転写因子T-bet(T-box expressed in T cells)の発現上昇の消失、インターロイキン2とインターフェロンγの産生回復、および細胞融解応答の回復が特徴である。こうした回復は、NKG2D を欠くCD8 + T細胞では起こらなかった。NKG2Dを介した共刺激の増強は、CD4依存性インフルエンザモデルでCD4 + T細胞を欠損するマウスの生存率を高め、CD4を欠くHIV陽性ドナーのHIV特異的CD8 + T細胞応答を回復させる。今回の知見は、NKG2Dを介する共刺激の増強が、CD4ヘルプを受けなかったCD8 + T細胞の異常な細胞運命からの救済に有効であることを実証しており、治療に役立つものと考えられる。
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
4/20(金)
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 西方
  • Sayem
4/13(金)
  • 担当者:高松 孝太郎
  • 論文:TLR2 is a primary receptor for Alzheimer's amyloid β peptide to trigger neuroinflammatory activation.
    Shirong Liu, et al.

    Journal of Immunology 188: 1098-1107, 2012(Feb.)
  • 要約:ミクログリアは、細胞外に蓄積するアミロイド蛋白 (Aβ) により活性化し、神経毒性を持つ炎症性メディエーターを産生することで神経障害を引き起こす (M1 activation)。一方で、抗炎症作用および神経栄養作用を持つM2 が活性化されも、Aβを貪食することにより神経を保護する。これらの反応には、TLRが関与するとされるが、その詳細は不明である。本論文では、リアルタイム表面プラズモン共鳴測定法、および従来の生化学的pull-down 法を用いることにより、TLR2と重合型ヒトAβ2の直接的相互作用を示している。TLR2を欠損した培養ミクログリア、マクロファージでは、Aβ42による炎症反応は抑制されるとともに、Aβ貪食能は増強した。TLR2を発現していないHEK293細胞では、TLR2を発現させることによりAβによる炎症反応が引き起こされた。tlr2 遺伝子の部位特異的変異により、アミノ酸配列EKKA(741-744) が炎症シグナルの伝達に重要な役割を示すことが判明した。HEK293細胞に、TLR1もしくはTLR6をTLR2とともに共発現させることにより、RAW264.7 マクロファージ細胞では、tlr遺伝子をサイレンシングすることにより、TLR2 によるAβ2 誘導性の炎症反応がTLR1により増強、TLR6により抑制されることを示した。In vivo では、アルツハイマー病モデルの骨髄キメラを用いて、TLR2欠損がマクロファージをM1からM2へシフトさせ、神経障害が改善することを示した。本論文では、TLR2がAβに対して神経炎症を引き起こす主要レセプターであり、ミクログリアにおけるTLR2阻害が、アルツハイマー病の病態にとって有益である可能性が示唆された。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
4/6(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:Marginating Dendritic Cells of the Tumor Microenvironment Cross-Present Tumor Antigens and Stably Engage Tumor-Specific T Cells
    John J. Engelhardt, et al.
    Cancer Cell 21: 402-417, 2012 (March)
  • 要約:腫瘍部において、骨髄由来細胞が、どのようにしてT細胞へ抗原提示を行うのか、また、どの部位で抗原提示を行うのかについて、これまでのところ明らかになっていない。今回、著者らは、自然発症し、腫瘍免疫から逃れることのでき、さらに蛍光を発する乳がん発症マウスを作成することで、抗原提示を行う骨髄性細胞のサブセットを同定した。この骨髄性細胞は、樹状細胞及びマクロファージと類似しており、腫瘍由来のタンパク質を摂取し、プロセスした腫瘍抗原をT細胞へ提示した。また、ライブイメージによって、腫瘍に浸潤したT細胞が、腫瘍の近くで、これらの骨髄性細胞と長時間結合していることが明らかになった。一方、in vitroにおいて、これらの骨髄性細胞は、細胞障害性T細胞と結合するものの、T細胞を完全に活性化したり、細胞溶解を持続されたりすることはできなかった。今回観察された時空間的な細胞動態は、腫瘍周縁部におけるT細胞と抗原提示細胞との非生産的な相互作用に関係していると考えられる。

 

  • 塚本
  • Sayem
  • 西方
  • 冨田
  • 湯野

 

  • 矢津田
  • 黒田

 

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