2013年1月~3月

日程

Journal Club

(8:30~9:30)

Progress report

(9:30~12:00)

2013年

平成25年)

 

Group-1

Group-2

3/29(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:IL-1 enhances expansion, effector function, tissue localization, and memory response of antigen-specific CD8 T cells
  • 著者:Shlomo Z. Ben-Sasson, et al.
  • The Journal of Experimental medicine 210: 491-502, 2013(Mar.)
  • 要約:IL-1は炎症性サイトカインのひとつであり、樹状細胞やマクロファージに作用して自然免疫を活性化するのみならず、抗原特異的なCD4+ T cellの生存や増加など獲得免疫の賦活化にも寄与しているとされる。今回、著者らは、マウスにOVAとLPSで免疫する際にIL-1を投与することで、OVA特異的なCD8+ T細胞にどのような影響がもたらされるかについて検証を行っている。その結果、IL-1を投与した群では、非投与群と比較して、リンパ節、脾臓、肝臓、肺におけるOVA特異的なCD8+ T細胞の数が増加していた。また、IL-1投与群ではOVA特異的なCD8+ T細胞のGranzyme BとINF-γの発現が上昇しており、in vivo でもIL-1の投与によってCD8+ T細胞の細胞傷害性が向上することが示された。併せて、IL-1を初回免疫時に投与すると、非投与群と比較して二次応答におけるOVA特異的なCD8+ T細胞の数や機能が増強されることも示された。以上の結果により、IL-1は、抗原特異的なCD8+ T細胞の数の増加や分化、末梢への移動、メモリー化を促進する働きを有することが示唆された。
  • 粟井
  • Sayem
  • 矢津田
3/22(金)
  • 担当者:高松 孝太郎
  • 論文:
  • 著者:
  •  
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
  • 池田
  • 高松
  • 今村

3/15(金)

Journal Club のみ開催

  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:Generation of Rejuvenated Antigen-Specific T Cells by Reprogramming to Pluripotency and Redifferentiation
  • 著者:T. Nishimura, et al.
  • Cell Stem Cell 12: 114-126, 2013 (Jan.)
   
3/8(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:Antiangiogenic agents increase breast cancer stem cells via the generation of tumor hypoxia
  • 著者:Conley, SJ. et al.
  • Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 109: 2784-2789, 2012 (Feb.)
  • 要約:抗血管新生療法は、がんの治療において将来性のある治療法だと思われている。しかし、乳がん患者に対する臨床試験では、生存期間の延長が見られるのみで、抗血管新生薬が将来性のある治療薬であるかは疑問である。さらに、前臨床試験のモデルによる研究では、抗血管新生薬が、乳がん細胞の浸潤性や転移性を増加させることが明らかになった。今回、著者らは、ヒトの乳がん細胞をマウスに移植した際、スニチニブやベバシズマブといった抗血管新生薬を使って腫瘍内を低酸素状態にすると、がん幹細胞が増加することを報告している。in vitroの研究の結果、低酸素状態でも、がん幹細胞(がん前駆体細胞)が増殖するのは、低酸素誘導因子1a(HIL-1a)の働きであることが明らかになった。さらに、低酸素状態にした乳がん細胞やヒトの乳がん細胞をマウスに移植した際、スニチニブを投与した乳がん細胞の移植片では、がん幹細胞の制御に関わるAkt/b-カテニン経路も活性化していることが明らかになった。このように、低酸素状態によって誘導された、がん幹細胞では、抗血管新生薬の有効性を制限されるため、がんの治療にあたっては、がん幹細胞を標的とした薬との組み合わせるということが必要であることが明らかになった。
  • 入江
  • 矢津田
  • Sayem
3/1(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:The CD27 and CD70 Costimulatory Pathway Inhibits Effector Function of T Helper 17 Cells and Attenuates Associated Autoimmunity
  • 著者:Coquet JM, et al.
  • Immunity 38: 53-65, 2013 (Jan.)
  • 要約:Th17細胞は自己免疫疾患の病態に大きく関与しているサブセットである。このTh17細胞の分化誘導にはTGF-βとIL-6の刺激が重要であるが、今回著者らは、腫瘍壊死因子レセプタ遺伝子ファミリーに属するCD27とそのリガンドであるCD70を介した刺激によって、Th17細胞への分化誘導が著明に阻害されることを報告している。CD11c陽性細胞に恒常的にCD70を発現させたCd70トランスジェニックマウスにEAEを誘導した場合、コントロールマウスと比較して症状の軽減や中枢神経に浸潤したTh17細胞数の減少が認められた。このCD27/CD70のシグナルは、TGF-βとIL-6からの刺激によるSTAT3のリン酸化やRoRγtの発現には影響を与えず、部分的にはJNKシグナル伝達経路を介してTh17細胞の分化抑制を誘導していることが示された。さらにCD27/CD70の刺激によって、IL17A遺伝子のエピジェネティックな転写抑制が起こることも確認された。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 今村
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
2/22(金)
  • 担当者:矢津田 旬二
  • 論文:Targeting CD4+ T-Helper Cells Improves the Induction of Antitumor Responses in Dendritic Cell -Based Vaccination
  • 著者:Erik H.J.G. Aarntzen, et al.
  • cancer research 73:19-29, 2013 (Jan.)
  • 要約:効果的な抗癌免疫療法の一環として、抗原特異的CD4陽性ヘルパーT細胞を誘導する事の妥当性を評価するために、本研究ではMHCクラスI(MHC-I)拘束性エピトープ単独、またはMHCクラスIおよびII(MHC-I/II)両方の拘束性エピトープのいずれかをパルスした樹状細胞(DC)ワクチン接種の免疫学的および臨床反応を調べた。ステージIIIおよびIVのメラノーマで、HLA-A*02:01陽性である患者33人が参加し、そのうち29人が免疫応答の評価が可能であった。HLA-DR4陰性患者にキーホールリンペットヘモシアニン (KLH) と腫瘍関連抗原(TAA)であるチロシナーゼおよびgp100のMHC-I拘束性エピトープを、HLA-DR4陽性患者にはKLHとMHC-I/II両方の拘束性エピトープをそれぞれ付加した、サイトカインで成熟化させたDCをリンパ節内へ投与した。MHC-I/IIエピトープを付加したDC​投与群15人中4人と、MHC-Iエピトープを付加したDC​​投与群14人中1人で、skin test in filtrating lymphocyte (SKIL)培養と、末梢血中にTAA特異的にIFN-γを産生するCD8陽性T細胞を検出した。TAA-特異的CD4 陽性T細胞反応がSKIL培養で検出された患者では、TAA特異的CD8 T細胞反応も同時に示した。検査した13例中3例で、TAA-特異的CD4+CD25+ Foxp3- T細胞が検出されたが、これらのT細胞は高い増殖能とIFN-γの産生能をもつことから、制御性T細胞ではなかった。MHC-I/II両方のエピトープを付加したDCを投与された群では、対照となるダカルバジン投与群と比較して、全生存期間の中央値が15.0対8.3ヵ月(P=0.089)、無増悪生存期間の中央値5.0対2.8ヶ月(P=0.0089)と予後の改善を示した。MHCクラスIおよびII両方のエピトープをパルスしたDCを投与することにより、TAA-特異的CD4陽性ヘルパーT細胞を同時に活性化することで、特異的CD8陽性T細胞反応を増強することが、予後の改善に寄与することが示された。
  • 粟井
  • Sayem
  • 矢津田
2/15(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Microbiota restricts trafficking of bacteria to mesenteric lymph nodes by CX3CR1hi cells
  • 著者:Gretchen E. Diehl, et al.
  • Nature 494: 116-120, 2013(Feb)
  • 要約:腸内細菌叢は免疫系や代謝恒常性に重要な役割を担っている。しかし、宿主と腸管内容物とを隔てている上皮障壁を傷害しかねない炎症反応を避けるために、宿主は細菌叢を免疫的に寛容化しておく必要がある。こうした調節が破綻すると、共生細菌に対する不適切な免疫応答が生じ、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の発病につながると考えられている。我々は、腸管免疫系は、腸内細菌叢によって腸管内の抗原に対する反応を抑制するように方向付けられていると考えた。今回我々は、定常状態では、共生細菌および病原性細菌の腸管内腔から腸間膜リンパ節(MLN、免疫を誘導する重要な部位)への移送を、腸内細菌叢が抑制していることをマウスで明らかにした。しかし、Myd88 が欠損している場合、あるいは抗生物質によるディスバイオーシス(腸内細菌叢のバランス異常)状態の場合は、非侵襲性の細菌がCCR7に依存してMLNへ移送され、T細胞応答とIgA産生の両方が誘導された。細菌の移送は、腸管の細胞集団の1つでこれまで非遊走性であるとされていたCX 3 CR1 hi の単核食細胞によって行われていた。以上の結果は、腸管内細菌を捕捉できるCX 3 CR1 hi 単核食細胞のMLNへの移動の調節に、共生細菌が重要な役割を担っており、それによって腸管免疫応答を一定区画に閉じ込め、炎症を回避していることを明らかにしている。
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
  • 池田
  • 高松
  • 今村
2/8(金)
  •  担当:冨田 雄介
  •  論文:Sustained effector function of IL-12/15/18–preactivated NK cells against established tumors
  • 著者:Jing Ni et al.
  • Journal of Experimental Medicine 209: 2351-2365, 2012(March)
  • 要約:癌に対するナチュラルキラー細胞(NK細胞)療法は、NK細胞のエフェクター機能が一過性であることが問題となっていた。近年、IL-12/IL-15/IL-18を用いてマウスNK細胞を養子免疫前に活性化させることで、in vivoにおいて持続したエフェクター機能を維持できることが報告された。著者らは、IL-12/IL-15/IL-18で活性化させたNK細胞の抗腫瘍効果について解析を行った。IL-12/IL-15/IL-18で活性化させた同系のNK細胞を、放射線治療を行ったマウスに単回投与することにより、担癌マウスの腫瘍が縮小したが、IL-15もしくはIL-2で処理したNK細胞を養子免疫しても効果は認めなかった。この実験系においては放射線治療が抗腫瘍効果を得るために必須であった。IL-12/IL-15/IL-18で活性化させたNK細胞は、IL-2Rα(CD25)を強く発現し、かつCD4陽性T細胞の産生するIL-2に依存性の高い増殖能をin vivoにおいて有していた。さらにIL-12/IL-15/IL-18で活性化させたNK細胞は腫瘍内に多く浸潤し、エフェクター機能を維持しているNK細胞が維持されていたが、この現象はCD4陽性T細胞の存在が必要不可欠であった。また、放射線治療は移植したNK細胞の数と機能を著しく増加させた。さらに、IL-12/IL-15/IL-18で活性化させた、ヒトNK細胞は、in vitroにおいてエフェクター機能を維持していた。著者らの研究結果は、NK細胞を用いた癌免疫療法の発展に有用であると考えられる。また、著者らの研究結果は、CD4陽性T細胞によるヘルパー機能がNK細胞による抗腫瘍免疫応答を維持するために必要不可欠であることを示しており、獲得免疫と自然免疫のつながりを示すものである。
  • 入江
  • 矢津田
  • Sayem
1/25(金)
  • 担当者:粟井 博丈
  • 論文:Th9 cells promote antitumor immune responses in vivo
    Yong Lu, et al.
    The Journal of Clinical Investigation 122: 4160-4171, 2012(Nov.)
  • 要約:20年以上前に発見されたIL-9は近年、免疫システムにおいて様々な機能を持つサイトカインとして再び着目されている。特に、IL-9産生性のエフェクターCD4+T細胞として新たに定義されたTh9細胞は、自己免疫疾患やアレルギーなどの病態に関与することがわかり、その詳細な機能について盛んに検討がされている。しかし現在まで、腫瘍免疫におけるTh9細胞についての報告は乏しく、その機能についてのコンセンサスは得られていない。
    本論文では、腫瘍免疫、特にCD4+T細胞を介した抗腫瘍効果におけるTh9細胞の効果を、マウスのメラノーマ肺転移モデルを用いて検討を行っている。そして、筆者らは担癌個体においてIL-9の活性を中和抗体により抑制すると腫瘍の増生が促進することを見出した。一方、腫瘍特異的Th9細胞を移入した場合には、強い腫瘍抑制効果が示された。これらのことから、Th9細胞が産生するIL-9は腫瘍拒絶に大きく貢献することが示唆された。詳細な解析により、Th9細胞が産生するIL-9は、腫瘍局所の上皮細胞に働きかけCCL20の産生を促すことにより、CCR6依存性にDCをリクルートさせる機能を持つことが示された。さらに、腫瘍局所におけるDCの積極的な遊走は、腫瘍特異的なCD8+T細胞の活性化を促進し、腫瘍拒絶を誘導しているものと考えられた。この仮説は、CCR6を欠損する担癌マウスではTh9細胞依存的なDCの遊走、およびそれに伴う腫瘍特異的CD8+T細胞の活性化が誘導されないという観察により、支持される。さらに、CD8+T細胞活性化、および腫瘍拒絶におけるTh9細胞移入の効果は、腫瘍特異的Th1移入の場合に観察されるそれよりも高く、Th9細胞の重要性が示唆された。以上の結果より、CD4+T細胞による抗腫瘍効果において、IL-9/Th9細胞は重要な役割を担うことが示唆され、これらの知見は今後の抗腫瘍免疫によるがん治療のアプローチに役立つことが期待される。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 今村
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
1/18(金)
  • 担当者:湯野 晃
  • 論文:Decline in miR-181a expression with age impairs T cell receptor sensitivity by increasing DUSP6 activity
    Guangjin Li, et al.
    Nature Medicine 18: 1518-1524, 2012(Sep.)
  • 要約:ヒト免疫系がワクチン接種に対して応答する能力は年齢とともに低下する。我々は、ナイーブCD4+ T細胞では、T細胞受容体(TCR)誘導性の細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化に年齢に関連する欠陥が生じるが、その一方でζ鎖結合プロテインキナーゼ70(ZAP70)やホスホリパーゼC-γ1のリン酸化のような他のシグナルは障害されていないことを明らかにした。ERKシグナル伝達の異常は、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)によって引き起こされ、DUSP6タンパク質の発現はmiR-181aによる抑制の低下によって加齢とともに増大した。miR-181aの再構築は、高齢者のナイーブCD4+ T細胞でDUSP6の発現を低下させた。miR-181aもしくは特定のsiRNAを用いたDUSP6抑制、およびアロステリック阻害剤である(E )-2-ベンジリデン-3-(シクロヘキシルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1 H -インデン-1-オンによるDUSP6阻害はCD4+ T細胞応答を改善し、活性化マーカーの発現増加、増殖の改善や優先的な1型ヘルパーT細胞分化の促進が見られる。DUSP6は、高齢者のT細胞応答を回復させるための治療標的となる可能性があり、T細胞応答の回復はワクチン接種の有効性を高めると考えられる。
  • 粟井
  • Sayem
  • 矢津田
1/11(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Regulatory T Cells Increase the Avidity of Primary CD8+ T Cell Responses and Promote Memory
    Luigia Pace, et al.
    Science 338: 532-536, 2012(Oct.)
  • 要約:Tregは自己反応による自己免疫疾患を制御したり、炎症や腫瘍免疫、感染免疫などについても抑制作用を示すことが明らかになっているが、T細胞が非自己の抗原に反応している際、どのような役割を担っているかまだよくわかっていない。そこで今回マウスにおいてTregが免疫反応の初回抗原刺激の際に重要な役割を担っていることを示した。Treg減少下では抗原提示する樹状細胞と低い結合活性のT細胞との相互作用を安定化させるCCL-3/4/5ケモカインの過剰産生のため、低い結合活性のCD8+T細胞の活性化、増殖を引き起こした。またTreg不在下では一次免疫反応の結合活性が阻害され、その結果、リステア・モノサイトゲネスのメモリーT細胞が減少した。これらの結果から、TregはCD8+陽性T細胞の初回抗原刺激の恒常性に重要であり、また高い結合活性の一次反応と有効なメモリーT細胞の誘導に重要な役割を担っていることが示唆される。
  • 冨田
  • 湯野
  • 平山
  • 池田
  • 高松
  • 今村

 

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