2012年1月~3月

 

 

 

日程

 

 

Journal Club

 

 

Progress report

 

 

 

(8:30~9:30)

 

 

(9:30~12:00)

 2012年(平成24年)

 

 

 

Group-1

 

 

Group-2
3/30(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:Regional neural activation defines a gateway for autoreactive T cells to cross the blood-brain barrier.
    Cell 148: 447-457, 2012 (Feb.)
    Arima Y, et al.
  • 要約:多発性硬化症のような神経自己免疫疾患では、病原性T細胞は脳血管関門 (BBB)を越えて、中枢神経系 (CNS)に浸潤するものの、その詳細な機構については不明な点も多い。著者らは実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)を用いた解析の結果、第5腰椎の背側血管からT細胞の浸潤が始めることを発見した。この部位では、CCL20の発現が亢進していたが、その原因として、重力によるヒラメ筋の刺激がその支配神経である感覚神経の活性化を促すことで起こっている可能性が考えられた。さらに、後肢懸垂法を用いてヒラメ筋への加重を無重力状態にした場合、第5腰椎の背側血管からのT細胞の浸潤が著明に抑制された。これらの結果からは、局所的な神経刺激によって、CNSのBBB領域に存在する免疫細胞が通過するためのゲートが形成される可能性が考えられた。
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
3/23(金)
  • 担当者:矢津田 旬二
  • 論文:Oncogene-Targetting T Cells Reject Large Tumors while Oncogene Inactivation Selects Escape Variants in Mouse Models of Cancer
    Kathleen Anders, et al.
    Cancer Cell 20: 755-767, 2011(Dec.)
  • 要約:著者らは薬剤による不活性化、もしくは特異的CD8+エフェクターT細胞によって同一のoncogeneを治療標的とするマウス癌モデルを作成した。薬剤による治療は、短期的には大きな腫瘍に効果があったが、長期的には全て再発した。エフェクターT細胞による治療では、標的抗原が癌発生に関わるか、あるいは十分な量発現していれば完全に腫瘍を拒絶できた。薬剤による治療では腫瘍血管は正常で、そのことが再発に寄与している可能性が示唆された。エフェクターT細胞による治療では腫瘍血管が破壊された。これはbystanderelimination よると考えられるが、間質細胞によるcross-presentationは必要としなかった。
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 西方
  • Sayem
3/16(金)
  • Journal Club 休会
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
  • 湯野
3/9(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Extrathymically generated regulatory T cells control mucosal TH2 inflammation
    Steven Z. Josefowicz, et al.

    Nature 482: 395-399, 2012(Feb.)
  • 要約:常時微生物や非自己抗原に曝される粘膜上では、炎症促進性および炎症抑制性サイトカインのバランスによって、アレルギー、喘息や腸炎に関わる不都合な免疫反応を抑えつつ、病原体に対する効果的な防御が行われている。抑制性T(Treg)細胞は、全身性あるいは組織特異的な自己免疫反応や、炎症による組織破壊が起こらないよう、粘膜上でこれらを防いでいる。Tregは胸腺で作られるもの(tTreg)と末梢で誘導されるもの(iTreg)があるが、こうした細胞が2通り存在することは、免疫の恒常性維持おいて、tTregとiTregに異なる働きがあることを意味する。著者らはマウスを用いて、iTregへの分化を特異的に抑制した。iTregを欠損するマウスでは、多臓器自己免疫反応もなく、組織特異的な自己免疫反応を誘導しても増悪せず、Th1やTh17細胞による炎症促進反応も増強されないが、アレルギー性炎症や喘息などの兆候から、明らかなTh2タイプの病態が消化管や肺の粘膜上で自然発症していた。さらに、iTregが存在しないと、腸管での微生物叢が変化することもわかった。以上の結果から、胸腺で作られるTregは、全身性あるいは組織特異的な自己免疫反応を制御するのには十分であるが、胸腺外で分化するTregは共生する微生物種の構成に影響し、粘膜上でのアレルギー型炎症反応を抑制する、独自の効果的な機能を有することが示唆された。
  • 塚本
  • 木庭
  • 西方
  • Sayem
  • 矢津田
  • 黒田
3/2(金)
  • 担当者:塚本 博丈
  • 論文:Natural killer cells act as rheostats modulating antiviral T cells
    Stephen N, et al.

    Nature 481: 394-398, 2012(Jan.)
  • 要約:NK細胞は感染を受けた細胞や、腫瘍細胞などを直接傷害し、ストレスを受けた細胞の排除に寄与している。また、近年、様々な他の免疫担当細胞と相互作用することにより、自然免疫だけでなく、獲得免疫を調節していることが示唆されている。ある種のウイルス感染症ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)、またマウスサイトメガロウイルス(MCMV)による感染でも、NK細胞によるウイルス感染細胞の直接的な溶解が抗ウイルス防御に寄与しているという報告がある一方、NK細胞には免疫調節機能もあるのではないかとも考えられている。例えば、NK細胞はMCMVに感染した抗原提示細胞を溶解することによって、獲得免疫の中心となるT細胞応答を間接的に調節していることが示唆されている。本論文では、マウスにおけるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染のモデルでは、NK細胞を除去した場合、ウイルス排除が促進される傾向が観察された。このことから、LCMV感染モデルにおいても、NK細胞は免疫応答に関与することが予測された。しかし、MCMVの感染モデルとは異なり、抗原提示細胞に対する、NK細胞の直接的な作用がないため、異なるメカニズムが考えられた。そこで筆者らは、LCMV感染マウスでのT細胞依存的なウイルスの持続感染や免疫異常の調節におけるNK細胞の役割について調べた。その結果、筆者らは、CD8 T細胞の機能やexhaustionに影響を与える活性化CD4 T細胞を、活性化NK細胞が細胞溶解によって排除するという、三者の間の相互作用を見出した。ウイルス量が多い場合、NK細胞は致命的な病態になることを防いだが、T細胞のexhaustionとウイルス感染の持続を許し、ウイルス量が中程度の場合、NK細胞は、逆にT細胞を介する致死的な病態を促進した。したがって、NK細胞には加減抵抗器としての役割があり、ある種のウイルス感染の病原性や持続性を制御する抗ウイルス性CD8 T細胞へのCD4 T細胞を介する支持を調節していることが示唆された。
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
2/17(金)
  • 担当者:西方 龍太郎
  • 論文:Opposing Signals from the Bcl6 Transcription Factor and the Interleukin-2 Receptor Generate T Helper 1 Central and Effector Memory Cells
    Marion Pepper, et al.
    Immunity 35: 583-595, 2011(Oct.)
  • 要約:リステリア菌に感染後、Th1 effector memory T 細胞(TEM)とcentral memory T 細胞(TCM)様のCCR7+ 細胞が形成される。著者らはどのようにそれらのmemory T 細胞が形成されるのか明らかにするために、リステリア菌特異的CD4+ T 細胞を追跡した。リステリア菌に感染し数日で、CCR7- CXCR5- T-bethi CD4+ T 細胞とCCR7+ CXCR5+ T-betlo CD4+ T 細胞の二つのエフェクターCD4+ T細胞の集団が形成された。CCR7- CXCR5- T-bethi CD4+ T 細胞はIL-2レセプター依存的にTEM 細胞を形成する集団だった。一方、CCR7+ CXCR5+ T-betlo CD4+ T 細胞はBcl-6とB細胞上のICOSL依存的に形成されるfollicular helper T 細胞(Tfh)様の集団であった。また、再刺激後、TEMに分化する能力があった。本論文では、IL-2レセプター、Bcl-6、B細胞のシグナルで形成されるTEMとTCMのprecursor 細胞は、感染後早期に存在することを明らかにした。
  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田
  • 西方
  • 木庭
2/10(金)
  • 担当者:冨田 雄介
  • 論文:Tumor-infiltrating myeloid cells induce tumor cell resistance to cytotoxic T cells in mice
    Tangying Lu, et al.
    The Journal of Clinical Investigation 121: 4015-4029, 2011
  • 要約:癌免疫療法は、癌患者において腫瘍特異的に免疫反応を誘導し、特に腫瘍特異的CTLを誘導する。しかし、癌免疫療法が効果を示すのはごく限られた患者に対してだけである。著者らは、腫瘍特異的CTLが誘導されても腫瘍抗腫瘍効果が不十分である原因を解明するために、「抗腫瘍効果が得られないのは、T細胞機能の障害が原因ではない」との一つの仮説をたてた。著者らは過去の研究において、マウスにおいてはMDSCsがフリーラジカルperoxynitrite (PNT) を産生することを報告した。今回の論文では、マウス腫瘍細胞もしくはヒト腫瘍細胞をPNTで処理した場合、もしくはMDSCsで処理した場合には、細胞内でプロセスされたペプチドがMHCに結合することが障害され、結果として腫瘍細胞は抗原特異的CTLに耐性を示すことを報告する。PNT阻害剤で処理したMDSCsを用いた場合には、これらの効果は消失した。さらに、炎症性サイトカインであるIL-1βを発現する腫瘍細胞を用いることにより、腫瘍抗原特異的CTLの抗腫瘍効果の減弱を評価したマウスモデルの実験系では、IL-1β発現腫瘍細胞によるCTLへの障害が原因ではなく、むしろ抗腫瘍効果の減弱はPNTの存在が影響していることを証明した。また、ヒト膵癌、肺癌、乳癌の臨床検体においてMDSCsが主なPNTの供給源であることも示す。本論文の研究結果から所者らは、MDSCによる腫瘍細胞のCTLに対する耐性獲得の新しいメカニズムを示す。
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
  • 湯野
2/3(金)
  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:Human Leukocyte Antigen Class I-Restricted Activation of CD8+ T Cells Provides the Immunogenetic Basis of a Systemic Drug Hypersensitivity
    Diana Chessman, et al.
    Immunity 28, 822-832, 2008(June)
  • 塚本
  • 木庭
  • 西方
  • 矢津田
  • 黒田
1/25(水)

 

  • 担当者:湯野 晃
  • 論文:An Interleukin-21- Interleukin-10-STAT3 Pathway Is Critical for Functional Maturation of Memory CD8+ T Cells
    Weiguo Cui, et al.
    Immunity 35:792-805, 2011(Nov.)
  • 要約:CD8陽性メモリーT細胞は免疫記憶において重要な役割を担っているが、その形成のメカニズムはいまだにはっきりとわかっていない。著者らはLCMV感染後において、IL-10-IL-21-STAT3のシグナルがCD8陽性メモリーT細胞の分化に重要であることを示している。IL-10,IL-21,STAT3のいずれかがない状況では、ウイルス特異的なCD8陽性T細胞はターミナルエフェクター状態に維持され、自己複製能をもったセントラルメモリーT細胞のような防御力のあるメモリーT細胞に成熟することができない。STAT3を欠損したCD8陽性メモリーT細胞では、Eomes, BCL-6, Blimp-1,SOCS3の発現がかなり減少している。またBCL-6またはSOCS3の欠損したCD8陽性T細胞も、メモリー形成が不安定である。STAT3が欠損しSOCS3の発現が減少したCD8陽性T細胞は、IL-12に過敏に反応する。STAT3-SOCS3のシグナルはターミナルエフェクターT細胞へ分化させるような炎症性サイトカインにメモリー前駆細胞を暴露させないようにすることにより、メモリー形成に寄与していると考えられる。このようにCD8陽性メモリーT細胞前駆体の成熟化は、IL-10-IL-21-STAT3のシグナルに依存している。
  • 冨田
  • 湯野
  • 羽賀
  • Sayem
  • 池田
  • 高松
1/13(金)

 

  • 担当者:木庭 千尋
  • 論文:Reprogramming of Mouse and Human Cells to Pluripotency Using Mature MicroRNAs
    Cell Stem Cell 8:633-638, 2011
  • 要約:人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、Oct4、Sox2、Klf4およびc-Mycを用いることで、ヒトおよびマウスの体細胞から作製することができる。化学的な化合物によるリプログラミング技術も開発されているが、リプログラミング効率の低さ、ベクター配列の残留などの問題が解決されていない。著者らは本研究で、成熟二本鎖マイクロRNA(miRNA)を直接トランスフェクションすることでヒトおよびマウスの細胞をリプログラミングし、多能性細胞を作製する方法を開発した。この方法では、mir-200c、mir-302ファミリーおよびmir-369ファミリーのmiRNAを組み合わせて導入することにより、体細胞から多能性細胞を得られる。miRNAを用いることで、ウイルスベクターによる遺伝子導入の必要がなく、また、染色体DNAに外来遺伝子を挿入することもなく細胞のリプログラミングが可能となり、生化学的な研究や再生医療への応用に向けて大きな可能性が期待される。

 

  • 入江
  • 矢津田
  • 黒田

 

  • 木庭
  • 西方

 

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