2014年1月~3月

  

日程

Journal Club (8:30~9:30)

Progress Report (9:30~12:00)

2014年 平成26年)

 

Group-1

Group-2

3/28(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Memory CD8+ T cells exhibit increased antigen threshold requirements for recall proliferation
  • Erin R, et al.
  • The Journal of Experimental Medicine 211:345-356, 2014 (February)
  • 要約:これまでの研究では特定の外因性および内因性の抗原への初回応答から作られた免疫記憶は同じ特定の抗原への2回目の遭遇に対し増強された応答をもたらし、T cell についてはmemory T cell が速やかに増殖、サイトカイン産生等により抗原を排除すると考えられてきた。しかし今回の論文ではlow dose antigen においてはmemory T cell の増殖は乏しく、むしろ naïve T cell が増殖の中心であることが示された。low dose antigen では naïve T cell 、memory T cell は共にCD69を発現し抗原は認識しているが、memory T cell ではほとんど増殖を認めなかった。また樹状細胞のサブセットに関係なくこの現象はみられた。これらの原因を調べたところ、memory T cell はnaïve T cell と比較しcyclin-dependent kinasae inhibitor であるp27の発現が高く、low dose antigen 下ではnaïve T cell は20時間程度でp27の発現が低下したのに対し、memory T cell ではp27の発現が高いままであることがあげられる。それに関連しlow dose antigen 下ではcMyc の発現、Rb蛋白のリン酸化もnaïve T cell で有意に高かった。またTCRはnaïve T cell でmemory T cell の約2倍発現しており、TCR signalingの感受性についてもTCR signalingの伝達に重要なSyk family kinase であるZap70のリン酸化もlow dose antigen 下ではnaïve T cell が有意に高かった。以上のことから非炎症性、low dose antigen 下ではnaïve T cellが優先的に増殖することが示された。今回はサイトカイン産生能については調べておらず、サイトカイン産生能についてはまた新たに研究することが必要である。
   
3/14(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:Detecting and targeting tumor relapse by its resistance to innate effectors at early recurrence
  • Timothy Kottke, et al.
  • Nature Medicine 19: 1625-1631, 2013(December)
  • 要約:悪性腫瘍の治療における大きな問題点のひとつとして、腫瘍の再発が挙げられる。今回著者らは、再発した腫瘍の表現型と原発腫瘍の表現型の違いを明らかにした。この表現型の違いが、腫瘍微小残存病変(MRD)によって誘発される自然免疫応答からの逃避に寄与していることが考えられる。これらの自然免疫応答についてスクリーニングを行うと、血中のIL-6やVEGFなどのサイトカイン濃度、腫瘍消失局所のIL-6濃度などが腫瘍の再発を占うマーカーとして有用であることが示唆された。また、再発腫瘍は、原発腫瘍に対する一次治療に対して抵抗性を有することが多いことが知られている。このような再発腫瘍に対して、VEGFを使用し再発を人為的に尚早に誘導すると、一次治療に対する感受性を再度高めることができた。さらにMRDに対して人為的に再発を誘導し、その再発腫瘍に対して、一次治療と適切な第二選択療法を組み合わせることにより、担癌マウスの腫瘍を完全に消失させることができた。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 湯野
  • 平山
  • 匂坂
3/7(金)
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem

2/28(金)

  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:
  • 要約:
  • 湯野
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
2/21(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:
  • 要約:
  • 入江
  • Sayem
  • 藤枝
2/14(金)
  • 担当者:粟井 博丈
  • 論文:Diet-induced obesity alters dendritic cell function in the presence and absence of tumor growth
  • Britnie R. James, et al.
  • The Journal of Immunology 189: 1311-1321, 2012 (August)
  • 要約:生体内の免疫システムを活性化してがんの排除を促す免疫療法は、臨床試験においてある程度の奏功を認め、今後更なる開発が期待される治療法である。一方で、老化や肥満による代謝異常は、免疫システムの機能不全を誘導することが明らかとなってきており、2009年のインフルエンザのパンデミックでは特に大きな問題となった。そして、最近のがん免疫療法の標準化に伴い、肥満による免疫システムの機能不全が、がん免疫療法の感受性低下の原因となることが報告されつつある。この免疫システムの機能不全は様々な免疫担当細胞に対する肥満の影響を反映していると推察されるが、その詳細は不明である。本論文で筆者らは、肥満の個体では正常個体に比べて、腎臓がんの初期段階の増大が亢進することが観察されたため、この原因、特に肥満の樹状細胞(DC)に対する影響について検討した。その結果、肥満の個体ではDCのCD8+ T細胞刺激活性が低下することが分かった。また、肥満の個体にがん細胞を移植した場合、腫瘍局所へのDCの浸潤が増加する一方、この腫瘍浸潤DCはT細胞活性化を抑制する活性を持っていた。そこで、肥満の担癌個体に対して、がん細胞のアポトーシスを誘導するTRAILを発現するアデノウイルスベクターとアジュバントであるCpGの投与による免疫療法を行ったところ、正常体重の担癌個体に比べて、これらの免疫療法の効果が大きう減弱していた。また、これらの免疫療法を受けた肥満の個体では、やはりDCの腫瘍浸潤が亢進していたにもかかわらず、その腫瘍浸潤DCはT細胞増殖を抑制する活性を有しており、腫瘍浸潤CD8+メモリーT細胞の減少、および腫瘍排除の減弱と相関していた。本論文より、肥満等、がん患者の代謝特性に応じたがん免疫療法、特にDCを介したがん免疫療法の更なる効果増強を図る戦略を検討する必要があると考えられた。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 湯野
  • 平山
  • 匂坂
2/7(金)
  • 担当者:湯野 晃
  • 論文:Phase I clinical trial of peptide vaccination with URLC10 and VEGFR1 epitope peptides in patients with advanced gastric cancer
  • Higashihara, Y. et al.
  • International Journal of Oncology 44: 662-668, 2013 (December)
  • 要約:ペプチドワクチン療法は、化学療法抵抗性で切除不能な進行癌に対する治療の新たな選択肢として近年注目されている。HLA-A24拘束性の URLC10およびVEGFR1由来のCTLエピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法の安全性を、化学療法抵抗性の進行胃癌患者を対象とした第一相臨床試験にて評価した。患者のHLA遺伝子型に関する情報は、第3者機関にて保有し、試験終了後に開示した。主要評価項目は安全性、二次評価項目は免疫応答と臨床効果とし、HLA-A24陽性集団と陰性集団とで比較した。ペプチドは第1、8、15、22日目に皮下投与し、28日間で1クールとした。本臨床試験には計14人の患者が参加しており、そのうち12人の患者が少なくとも4回(1クール)以上のワクチン接種を受けた。いずれの患者においても、治療に関連すると思われる重篤な有害事象は認めなかった。1クール終了後の評価では、4例がSD、8例がPDであった。12人の患者のMSTは3.9ヶ月、HLA-A24陽性患者では4.2ヶ月、HLA-A24陰性患者では3.6ヶ月であった。この臨床試験の結果、進行胃癌に対するURLC10およびVEGFR1由来のCTLエピトープペプチドワクチン療法は、安全な治療法であることが示唆された。
  • 粟井
  • 藤枝
  • 矢津田
  • Sayem
1/31(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:
  • 湯野
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
1/24(金)
  • 担当者:匂坂 正孝
  • 論文:Selective antitumor effect of neural stem cells expressing cytokine deaminase and interferon-beta against ductal breast cancer cells  in cellular and xenograft models
  • Bo-Rim Yi, et al.
  • Stem Cell Research 12: 36-48, 2014 (January)
  • 要約:固有の腫瘍好性によって、遺伝子操作された stem cell は脳、肝臓、卵巣、前立腺の悪性腫瘍を含む、様々なヒトの癌に対する遺伝子治療に有益である。本研究では human neural stem cell (hNSCs) に CD(cytosine deaminase)やIFN-βを遺伝子導入したもの (HB1.F3.CD、HB1.F3.CD.IFN-β)を ductal breast cancer の治療に用いた。CDは5-FCを5-FUに変換してDNA合成阻害による抗腫瘍効果を発揮できるようにし、IFN-βもまた、アポトーシス誘導により腫瘍発育を抑制する。RT-PCRによりHB1.F3.CD、HB1.F3.CD.IFN-βがそれぞれCD、CD/IFN-βを発現しているのを確認した。Modified transwell migration assayによりHB1.F3.CD、HB1.F3.CD.IFN-βが選択的にヒト乳癌細胞 (MCF-7、MDA-MB-231) に遊走することを確認した。hNSCと乳癌の共培養では5-FCの存在下ではHB1.F3.CD又はHB1.F3.CD.IFN-βにより乳癌細胞の生存力は大きく減弱した。抗腫瘍効果はHB1.F3.CD.IFN-βのほうがIFN-βの追加効果の分、大きかった。加えて、これらのhNSCsの腫瘍好性は stem cell factor (SCF)やc-kit、VEGFとVEGFレセプター2を含む化学誘引分子によって決まることがわかった。in vivoではルシフェラーゼ遺伝子導入した乳癌細胞の乳腺脂肪組織移植モデルを免疫不全マウスで作成し、HB1.F3.CD、HB1.F3.CD.IFN-β投与群では50%の腫瘍発育抑制と生存期間の延長を認めた。本研究で遺伝学的にCD、IFN-βを発現するように操作されたhNSCsは新たな癌遺伝子治療に有用だと示唆された。
  • 入江
  • Sayem
  • 藤枝
1/17(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Extracellular adenosine regulates naive T cell development and peripheral maintenance
  • Caglar Cekic, et al.
  • The Journal of Experimental Medicine 210: 2693-2706, 2013 (October)
  • 要約:アデノシンはほとんどの細胞が産生する代謝物 (ATP and ADP→AMP and adenocine)で、容易に細胞膜を通過し細胞表面の受容体を介して細胞機能の制御・調節する。アデノシン受容体はA1, A2A, A2B, A3の4種類が知られており、T細胞に主に発現しているアデノシン受容体はA2Aであることから、今回の論文ではA2AR geneであるAdora2aをノックアウトしたマウスを用い、T細胞に対するアデノシンの機能について調べた。Adora2aノックアウトマウスでは末梢においてメモリーT細胞、B細胞、NK細胞ではWTと比較し変化は認めなかったが、ナイーブT細胞は著明に減少していた。表面マーカーを調べるとCCR7やCD62Lは変化なかったが、CD127(IL-7R)がAdora2aノックアウトマウスのナイーブT細胞で著明に減少しており、このためにナイーブT細胞数が減少したと考えられた。CD127の発現が減少した原因を調べたところ、A2AR signalingはTCR signaling によって活性化するPI3K-AKT経路を制御することでナイーブT細胞のCD127の発現を維持していることが示された。また、胸腺内について調べたところ、Adora2aノックアウトマウスではDN phaseでは変化を認めなかったがDP phase以降でWTと比較し細胞数の減少を認めた。A2AR mRNA はDN phaseの前半で最も高く、DN phase → DP phase で細胞数の変化を認めたことから、DN phase の後半でAdora2aがノックアウトされるマウス、Adora2afl/fl-LckCreマウスを作製した。そのマウスの胸腺内を調べたところ、どのphaseにおいてもWTと細胞数は変わりなく、胸腺内ではA2AR signaling はDN phaseにおいてT細胞分化に重要な影響を及ぼしていることが示された。Adora2afl/fl-LckCreマウスと同様にナイーブT細胞が減少しており、CD127の発現も低下していた。Adora2a欠損したナイーブT細胞にTCR signaling を排除するとWTと同等までCD127の発現が回復した。以上のことからA2AR signaling は末梢においてナイーブT細胞のCD127down-regulationを妨げる (TCR signaling を阻害する) ことにより細胞維持に関与し、胸腺内ではT細胞分化に関与し特にDN phase →DP phaseにおいて特に重要であることが示された。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 湯野
  • 平山
  • 匂坂
1/10(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:Hypoxia-inducible factors enhance the effector responces of CD8+ T cell to persistent antigen.
  • Andrew L Doedens, et al.
  • Nature Immunology 14: 1173-1182, 2013 (November)
  • 要約:生物は外界の酸素濃度が低下すると、低酸素シグナルを活性化し低酸素状態にする。この低酸素シグナルの中心的役割を果たしている分子がHypoxia-inducible Factor (HIF)である。HIFは低酸素誘導性の転写因子であり、VEGFやエリスロポエチンなどの遺伝子発現を誘導することで、低酸素状況で観察される解糖系の亢進や血管新生、造血に関与しているとされる。今回、筆者らはHIFの発現がCTLの分化や機能にどのような影響を与えるかについて、主にマウスのLCMV感染モデルを用いて検討した。まず、HIFのnegative regulatorであるVHLを欠損させ、その結果、HIFが活性化されたCTLを作製し、LCMVの慢性幹線に対する免疫応答を観察した。その結果、VHLを欠損したCTLを有するマウスでは、宿主が死に至る程の、LCMVに対する強力な免疫応答が観察された。次にVHLを欠損しHIFが活性化されたCTLのeffector分子やサイトカイン、共刺激分子の発現を遺伝子レベルと蛋白レベルで確認したところ、Granzymeなどのeffector分子やTNFなどのサイトカイン、4-1BBなどの共刺激分子の発現が上昇していた。また、T-betなどの分化を制御する転写因子の発現は低下していた。さらにこれらのeffector分子やサイトカインの発現を感染後から長期間に渡って観察したところ、VHLを欠損したマウスではこれらのeffector分子やサイトカインの発現の上昇が長期間持続していた。これらの結果により、HIFが活性化されることで、CTLはより強力かつ持続的なeffector functionを有するようになると考えられ、免疫療法の新たな戦略のひとつとして有用である可能性が示唆された。
  • 粟井
  • Sayem
  • 藤枝
  • 矢津田
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