2014年4月~6月

  

日程

Journal Club (8:30~9:30)

Progress Report (9:30~12:00)

2014年 平成26年)

 

Group-1

Group-2

6/27(金)
  • 担当者:中根 未季
  • 論文:Nivolumab plus Ipilimumab in Advenced Melanoma
  • 著者名:Jedd D. Wolchok, et al.
  • The New England Journal of Medicine 369: 122-133, 2013 (July)
  • 要約:メラノーマ患者において、イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)は全生存期間を延長させ、ニボルマブ(抗PD-1受容体抗体)は第1相試験で持続的な腫瘍縮小を示した。2種の抗体の異なる作用機序と有効性を示した前臨床データに基づいて、進行メラノーマ患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法に関する第1相試験を行った。ニボルマブとイピリムマブを3週ごとに4回静脈内投与した。その後ニボルマブを単独で3週ごとに4回投与した。その後は併用投与を12週ごとに最大8回行った(同時投与レジメン)。逐次投与レジメンでは、イピリムマブによる治療歴がある患者にニボルマブを2週ごとに最大48回投与した。53例にニボルマブとイピリムマブの同時投与を行い、33例に逐次投与を行った。同時投与レジメン群における客観的奏効率は40%であった。患者の65%において臨床的効果を示すエビデンスが認められた。許容できる有害事象範囲での最大用量(ニボルマブ:1mg/kg イピリムマブ:3mg/kg)により、患者の53%が客観的奏功を達成し、その全例で80%またはそれ以上の腫瘍縮小が認められた。治療に関連するグレード3~4の有害事象が同時投与レジメン群で53%に認められたが、単剤療法での過去の経験と質的に類似しており、一般に可逆性であった。逐次投与レジメン群では、グレード3~4の有害事象は18%に認められ、客観的奏功率は20%であった。ニボルマブとイピリムマブの同時投与は、管理可能な安全性プロファイルを有し、既報の単剤療法とは異なると思われる臨床的効果を示し、多くの患者で迅速かつ大幅な腫瘍縮小を示した。
  • 入江
  • 藤枝

6/20(金)

  • 担当者:粟井 博丈
  • 論文:The cellular and molecular origin of tumoe-associated macrophages
  • 著者名:Ruth A. Franklin, et al.
  • Science 344: 921-925, 2014 (May)
  • 要約:マクロファージは造血系で最も可塑性の高い細胞で、あらゆる組織に見られ、機能の面で非常に多様性が高く、発生、恒常性維持、組織の修復、免疫にも関わっている。組織マクロファージは解剖学的に互いに異なっていて、転写プロファイルや機能もさまざまだが、それらすべてが恒常性の維持に必要である。本論文で、筆者らは腫瘍に特異的に集積するマクロファージ(腫瘍関連マクロファージ)が、本来組織に常在するマクロファージとは全く異なることを、その由来と、性質の観点から明らかにした。自然発症乳がんマウスモデルにおける腫瘍関連マクロファージは、接着因子であるVcam1を発現し、炎症性単球より分化し、従来言われている”M2”マクロファージとは異なっていた。さらにこの腫瘍関連マクロファージはNotchシグナルを司る転写調節因子であるRBP-J依存性に分化することを見出した。腫瘍に対する免疫応答への関与を検討するため、この腫瘍関連マクロファージを担癌個体により除去した場合、組織常在マクロファージとは異なり、腫瘍特異的CD8+ T細胞の傷害活性の誘導が促進され、さらにexhausted T細胞の減少が観察された。これらのことから、がん細胞が作り出す腫瘍微小環境が腫瘍関連マクロファージという特別なサブセットを誘導し、これが抗腫瘍免疫応答を抑制する大きな要因となり得ると示唆された。炎症性単球、マクロファージ、MDSC等のミエロイド系細胞の系統、種類、その調節は、がん種や、がんの悪性度、進展度によって様々であるため、本論文で見出された知見を考慮に入れ、状態に応じたマクロファージの多様性を解明し、ミエロイド系細胞の「特徴」を明確化することが極めて重要であると考えられる。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
6/13(金)
  • 担当者:匂坂 正孝
  • 論文:Genetic Engineering of Hematopoiesis for Targeted IFN-α Delivery Inhibits Breast Cancer Progression
  • 著者名:Giulia Escobar, et al.
  • Science Translational Medicine 6: 217ra3, 2014 (January)
  • 要約:癌治療において免疫抑制性の腫瘍微小環境は大きな障壁である。我々は造血幹細胞(HSCs)に遺伝子導入し、腫瘍浸潤単球/マクロファージに標的遺伝子を発現させる機構を開発した。転写とmicroRNAを介したコントロールを用いて、我々は選択的に遺伝子導入したIFN-αをヒトヘマトキメリックマウスの分化した単球において発現させることに成功した。IFN-αの発現によってヒトHSCsを移植されたNSGマウスでは、グラフトの生着や長期の多系統の再増殖について損なわれなかった。マウスにおいてヒトサイトカインを供給することで、ヒト骨髄細胞、NK細胞、T細胞系統の機能的再構成を改良し、造血細胞に腫瘍標的とするIFN-α発現を組み込むことで移植したヒト乳がんを免疫を介して抑制・排除した。この技術をマウス乳がんモデルに応用し、自家性の環境で腫瘍発育や遠隔転移に対して抑制効果を認めた。その効果はエフェクターT cellの増殖と腫瘍組織への集簇によるものであった。腫瘍浸潤マクロファージでIFN-α発現を強めることで、生来の腫瘍活性を高める能力を減弱し、より効果的なDC活性化や免疫作用細胞の細胞毒性を発揮するよう腫瘍微小環境を改変した。新しいがん遺伝子治療の実行可能性、安全性、治療の潜在能力について実証し、進行乳がんの補助治療としての道を拓いた。
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem
6/6(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Protein kinase C-η controls CTLA-4-madiated regulatory T-cell function
  • 著者名:Kok-Fai Kong, et al.
  • Nature Immunology 15: 465-472, 2014 (May)
  • 要約:Tregはimmune homeostasisやself-toleranceの維持に重要で、それらは抗原提示細胞との免疫シナプスにより形成されるが、Tregの免疫シナプスについてはまだよくわかっていない。そこで今回の論文ではPKC-ηがCTLA-4と関連しており、Tregのrecruitmentに必要なことが示された。PKC-ηはTregの分化には明らかな関連は認めず、Tregの免疫抑制機能に大きな関連があることが示された。PKC-η欠損マウスでは炎症性サイトカイン(IL-2、IFN-γ、IL-4、IL-17A)の上昇や、自己抗体(ds-DNA、histone)の上昇を認め、ex vivoの実験でPKC-η欠損のTregはeffector T細胞の増殖抑制がWTと比較し乏しかった。一方腫瘍増殖抑制についてはPKC-η欠損マウスにおいて有意に腫瘍の増殖が抑制されていた。TregにおいてCTLA-4のシグナルが入るとPKC-ηが活性化され、PKC-ηはNF-κBやNFATc1の活性化、GIT2-αPIX-PAK2 complexの形成を促すことによりTregの免疫抑制機能を活性化することが示され、癌の免疫療法においてターゲットになる可能性があることが示された。
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
5/30(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:CD4+ T cell lineage integrity is controlled by the histone deacetylases HDAC1 and HDAC2
  • 著者名:Nicole Boucheron, et al.
  • Nature Immunology 15: 439-448, 2014(May)
  • 要約:ヘルパーT細胞はTh1やTh2などのサブセットが存在するが、これらのサブセットへの分化や機能の維持に関する分子的メカニズムは不明な点も多い。著者らは、以前にヒストン脱アセチル化酵素であるHDAC1のノックアウトマウスを使用して、T細胞の分化や機能への影響を解析し報告している。今回、著者らは、HDAC1とHDAC2の2つの分子をダブルノックアウトしたマウスを使用し、T細胞の分化や機能への影響について解析を行った。まず、HDAC1とHDAC2をダウブルノックアウトしたマウスでは、末梢中のT細胞分画中にCD4+CD8+ T細胞が出現することが分かった。これらのCD4+CD8+ T細胞は、胸腺での分化段階においてはMHC class II拘束性に分化し、CD4+ T細胞として末梢に出現するが、末梢中で活性化することによってCD8も発現するようになることが分かった。このCD8の発現には、Rnx-CBFβ複合体が関与していることが示唆された。また、これらのCD4+CD8+ T細胞はTh1サイトカインの産生だけでなく、グランザイム、パーフォリンといったCTLの機能を有していた。これらの結果より、HDAC1とHDAC2はRunx-CBFβ複合体を抑制することでCD4+ T細胞のintegrityの維持に関与していることが示唆された。
  • 入江
  • Sayem
  • 千住
  • 藤枝
5/23(金)
  • 学会報告会(西村、粟井)
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
5/16(金)
  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:
  • 著者名:
  • 要約:
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem
5/2(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:
  • 著者名:
  • 要約:
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
4/25(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Microbiota-dependent crosstalk between macrophages and ILC3 promotes intestinal homeostasis.
  • Arthur Mortha, et al.
  • Science 343: 1249288, 2014 (March)
  • 要約:腸内細菌叢と組織常在型ミエロイド細胞が惹起する免疫反応により、小腸の恒常性が維持される。しかし、微生物シグナルから小腸の恒常性維持に至る細胞の仕組みは不明である。本論文では、GM-CSFが欠損すると単核食細胞の性質が変化し、御性T細胞数は減少し、経口寛容に不具合が生じることが示された。さらに著者らはRorγt陽性自然リンパ球(innate lymphoid cell;ILC)が腸内での主要なGM-CSFの供給源であり、その産生はマクロファージの微生物シグナルの感度とIL-1β産生能に依存することを見出した。これらの発見により、腸内共生細菌がミエロイド細胞と自然リンパ球の情報交換を促進させ、腸内環境を維持することが明らかとなった。
  • 入江
  • Sayem
  • 藤枝
4/18(金)
  • 担当者:藤枝 浩司
  • 論文:
  • 著者名
  • 論文リンク
  • 要約:
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
4/11(金)
  • 担当者:粟井 博丈
  • 論文:Cell death by pyroptosis drives CD4 T-cell depletion in HIV-1 infection
  • Gilad Doitsh, et al.
  • Nature 505: 509-514, 2014 (January)
  • 要約:AID患者は血中のCD4 T細胞が極端に減少する。HIV感染に伴うCD4 T細胞の枯渇は、AID患者における更なる(日和見)感染のリスクを上昇させるだけでなく、残存するCD4 T細胞の老化を促進する原因ともなり得る。著明な症状が現れない時期に起きるCD4 T細胞の細胞死の原因はよく分かっていないが、これまではアポトーシスが重要な機序であると考えられてきた。しかし、本論文で筆者らは、カスパーゼ-3を介するアポトーシスは、活性化されて増殖性感染したCD4 T細胞に相当する、CD4 T細胞のごく一部の細胞死に関与するのみであることを明らかにした。一方、静止期リンパ系CD4 T細胞の残りの90%以上は、ウイルスの不稔感染によって誘導されるカスパーゼ-1を介したピロトーシスによって死ぬことが見出された。ピロトーシスは非常に炎症性の強いプログラム細胞死として知られており、実際に、ピロトーシスを起こしたCD4 T細胞から、細胞質の内容物およびIL-1βなどの炎症性サイトカインが放出されることが実証された。これらのことから、この細胞死経路がHIV-1感染で見られる2つの特徴的事象、つまりCD4 T細胞の枯渇と、感染を契機とした慢性炎症を結び付け、また死にかけているCD4 T細胞が炎症性シグナルを放出して更に多数の細胞を引き寄せ、細胞死を起こさせるという病原性の悪循環を作り出すことが示唆された。これらの観察は30年以上不明だったHIVに関連して起こるCD4 T細胞数の激減と炎症の原因についての説明となると考えられる。筆者らはさらに、この悪循環は、ヒトでの安全性が明らかになっているカスパーゼ-1阻害剤によって断つことが可能であることを提案しており、ウイルスではなく、宿主の方を標的とする新しい種類の「抗AIDS」治療薬の可能性を示している。
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem
4/4(金)
  • 担当者:匂坂 正孝
  • 論文:Tumor-Infiltrating Monocytic Myeloid-Derived Suppressor Cells Mediate CCR5-Dependent Recruitment of Reglatory T Cells Favoring Tumor Growth
  • Eva Schlecker, et al.
  • The Journal of Immunology 189:5602-5611, 2012
  • 要約:Myeloid-Derived Suppressor Cells (MDSCs)は癌患者や腫瘍接種マウスにおいてT細胞反応を強力に抑制する myeloid cell である。腫瘍増殖時にMDSCは腫瘍組織を含むいくつかの臓器に集積する。腫瘍浸潤MDSCは未だ調査が不十分であり、今回我々はマウスの腫瘍浸潤顆粒球/単級系(MO-MDSC)について末梢血から得たMDSCと比較して遺伝子発現を調べた。RMA-Sリンパ腫に浸潤したMO-MDSCは高レベルのNOやアルギナーゼ1だけでなく、CCR5のリガンドであるCCL3, CCL4, CCL5を産生していた。B16メラノーマと皮膚腫瘍を生やす retトランスジェニックマウスから分離したMO-MDSCもまた高レベルのCCL3, CCL4, CCL5を発現していた。CCR5はTregで発現を認めており、in vitro で腫瘍浸潤 MO-MDSCは直接CCR5経路で多数のTregを集積させていた。腫瘍内へのCCL4またはCCL5の注入は腫瘍浸潤Tregを増加させ、CCR5の不足はTregの減少に繋がった。さらにCCR5欠損マウスではRMA-S、B16腫瘍発育は遅延し、抗腫瘍免疫応答のコントロールにおけるCCR5の重要性が示唆された。腫瘍浸潤MO-MDSCから分泌されたケモカインは多数のTregを呼び寄せ、新規のMDSCの抑制性作用を明らかにした。
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
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