2014年7月~9月

  

日程

Journal Club (8:30~9:30)

Progress Report (9:30~12:00)

2014年 平成26年)

 

Group-1

Group-2

9/5(金)

  • 担当者:匂坂 正孝
  • 論文:NK Cells Are the Crucial Antitumor Mediators When STAT3-Mediated Immunosuppression Is Blocked in Hepatocellular Carcinoma
  • Qiangjun Sui, et al.
  • The Journal of Immunology 193:2016-2023, 2014 (August)
  • 要約:STAT3は様々な癌組織において高発現し、腫瘍の生存に寄与している。我々は以前にin vitroにおいてSTAT3阻害がHCCの発育を抑制することを報告したが、in vivoでの実証はまだだった。今回の研究ではin vivo においてもHCC cellのSTAT3経路を阻害することで劇的にマウスのHCC発育を抑制し、腫瘍接種マウスの予後を延長することがわかった。STAT3をブロックしたHCCの存在によりHCCに対するNK cellの細胞障害性は増大し、NK cellの活性化と細胞障害性に関わる分子の発現が上昇していた。T cell 欠損ヌードマウスにおいて、STAT3を阻害したHCCに対するNK cellを介した抗腫瘍効果が示された。NK cell はNK cell または T cell 欠損の実験において、またはNK cellを移入する実験で抗腫瘍効果について必要かつ十分であることが認められた。さらに、Tregや免疫抑制性サイトカインのIL-10、TGF-βがSTAT3を阻害したHCC接種マウスの中で減少しており、これらの免疫抑制因子はHCCが誘導するNK cell抑制に関与していることが示唆された。これらの所見から、in vivoでHCCのSTAT3をブロックすることが自然免疫を惹起しうることが示された。
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem
8/29(金)
  • 担当者:今村 悠哉
  • 論文:Epitope-Specific Regulation of Memory Programming by Differential Duration of Antigen Presentation to Influenza-Specific CD8+ T Cells
  • Ballesteros-Tato, A. et al.
  • Immunity 41: 127-140, 2014 (July)
  • 要約:初回感染で形成されたメモリーCD8T細胞は2回目以降の感染時に速やかな反応して抗原を排除する働きがある。今回の論文ではインフルエンザウイルスの異なるエピトープに注目し、抗原が存在する量によりメモリーT細胞の形成、必要なシグナルの違いを示した。インフルエンザウイルスに少量しか存在しないポリメラーゼ(PA)を抗原とした場合は、メモリーCD8T細胞、抗原特異的キラーT細胞形成にIL2:CD25、CD70: CD27、CD40: CD154シグナルは関与していなかった。一方インフルエンザウイルスに多量に存在するヌクレオチドプロテイン(NP)を抗原とした場合はメモリーCD8T細胞、抗原特異的キラーT細胞形成にIL2:CD25、CD70: CD27、CD40: CD154シグナルが重要であり、特にメモリーCD8T細胞については初回抗原刺激時にこれらのシグナルがないと機能的なメモリーCD8T細胞形成ができないことが示された。また、DCにおいてCD40シグナルがないとクロスプレゼンテーションが十分にできないことも併せて示された。
  • 池田
  • 今村
  • 千住
  • 平山
  • 匂坂
8/22(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:Generation of a new therapeutic peptide that depletes myeloid-derived suppressor cells in tumor-bearing mice
  • Hong Qin, et al.
  • Nature Medicine 20: 676-681, 2014(June)
  • 要約:今回著者らは、担癌マウスモデルにおける、免疫抑制状態を解除する目的で、MDSCに特異的に結合できるペプチドの同定と、そのペプチドを応用したPeptibodyを使用することでどのような抗腫瘍効果が出現するか検討した。まず、Granulocytic MDSCとMonocytic MDSCの両方に特異的に結合するペプチドの同定をファージディスプレイ法で行った。その結果、H6、G3、という2種類のペプチドを同定した。これら2種類のペプチドを mouse IgG2b Fc部分と結合させ、Peptibodyを2種類作製した。これらのPeptibodyはMDSCに特異的に結合しDCなど他の細胞に結合しないことを確認した後、担癌マウスにこれらのPeptibodyを投与し、その効果を解析した。その結果、これらのPeptibodyの投与により、脾臓中、末梢血中、腫瘍内のMDSCの数が減少し、腫瘍の増殖を遅延させる効果が認められた。またこれらのPeptibodyは、MDSC表面に存在するS100A9及びS100A8に結合することがプロテオソーム解析などにより判明した。これらの結果より、作製したPeptibodyは担癌マウスにおけるMDSCの除去に有効であり、S100A9とS100A8はMDSCの除去のターゲットとして有効な分子であることが示唆された。
  • 粟井
  • 藤枝
  • 小島
  • Sayem
8/8(金)
  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:Deconstructing the Peptide-MHC Specificity of T Cell Recognition
  • Michael E. Birnbaum, et al.
  • Cell 157: 1073-1087, 2014 (May)
  • 第18回日本がん免疫学会総会 報告会
  • 平山
  • 匂坂
  • 中根
  • 池田
  • 今村
7/29(火)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:
  • 要約:
  • 入江
  • Sayem
  • 藤枝
7/22(火)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:TH9 cells that express the transcription factor PU.1 drive T cell-mediated colitis via IL-9 receptor signaling in intestinal epithelial cells
  • Katharina Gerlach, et al.
  • Nature Immunology 15: 676-686, 2014 (June)
  • 要約:炎症性大腸炎(IBD)発症のきっかけとなる分子機構はよくわかっていないが、著者らは潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis, UC)患者のT細胞は、転写因子PU.1とIL-9を発現するものが多いことを見出した。動物モデルでも、オキサゾロン投与で実験的に大腸炎を誘導したマウスでは、粘膜中のIL-9産生T細胞が増加していた。IL-9欠損マウスでは、急性、慢性いずれの大腸炎発症も抑制された。T細胞特異的にPU.1の発現を欠くマウスは大腸炎を発症せず、抗IL-9抗体の投与は大腸炎を抑制した。IL-9の機能は、腸管の防御機構の撹乱と粘膜の癒着阻害であった。以上のことから著者らの発見は、ヘルパーT細胞のサブタイプであるTh9は腸管上皮細胞に作用してUCを発症・増悪させるものであり、慢性腸炎の治療の標的となることを示唆するものである。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
7/11(金)
  • 担当者:藤枝 浩司
  • 論文:
  • 要約:
  • 粟井
  • 藤枝
  • Sayem
7/4(金)
  • 担当者:小島 拓
  • 論文:Chimeric Antigen Receptor-Modified T Cells For Acute Lymphoid Leukemia
  • Stephan A. Grupp, et al.
  • The New England Journal of Medicine 368: 1509-1518, 2013 (April)
  • 要約:CD19に特異的なTCAR-T細胞は慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に関して確率されているがCARが急性リンパ性白血病(ALL)で臨床活動をもつかどうかは確率されないままである。再発性で抵抗性のプレB細胞ALLの2人の子供はCTLA019CAR-T細胞の点滴を体重1kgあたり1.4×106から1.2×107ドーズうけた。2人ともCTL019T細胞は最初の移植したレベルの1000倍以上まで増大し、その細胞は骨髄で特定された。またCARは脳脊髄液で観察され、少なくとも6ヶ月間高水準を保った。しかし8つのグレード3,4の有害事象があった。サイトカインリリース症候群とB細胞形成不全症候群は両者で起こり、1人の子供はサイトカインリリース症候群はシビアであった。Etanerceptとtocilizumabによるサイトカインブロックは症候群を治すことに効果的でCAR-T細胞の増大を妨げず、抗白血病効果も低下しなかった。2人とも完全軽快し、1人は治療後11ヶ月を経過しているが再発を認めていないが、もう1人はCD19を発現していない芽細胞が2ヵ月後に再発した。CARは生体内で活発で治療に抵抗性を示す白血病細胞でさえ殺すことができた。もはや、ターゲットを発現しない腫瘍細胞の出現は一部のALL患者でCD19を加えて他の分子をターゲットにする必要性を示した。
  • 平山
  • 匂坂
  • 池田
  • 今村
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