2014年10月~12月

  

日程

Journal Club (8:30~9:30)

Progress Report (9:30~12:00)

2014年 平成26年)

 

Group-1

Group-2

12/19(金)
  • 担当者:平山 真敏
  • 論文:A vaccine targeting mutant IDH1 induces antitumor immunity
  • Theresa Schumacher, et al.
  • Nature 512:324-327, 2014 (August)
  • 要約:イソクエン酸脱水素酵素(isocitrate dehydrogenase type: IDH)は細胞内代謝に関与する酸化還元酵素のひとつである。近年、神経膠腫などの脳腫瘍において、IDH1/2に点突然変異が生じ、それが腫瘍の悪性形質の獲得に寄与していることが明らかになってきている。今回著者らは、変異型IDH1を標的抗原としたペプチドワクチン療法について、神経膠腫患者とマウスモデルを使用して検証している。IDH1の点突然変異は132番目のアミノ酸がアルギニンから他のアミノ酸(特にヒスチジン)に置換することが知られている。そこでまず著者らは、132番目のアミノ酸がヒスチジンに置換した部位を内包した、10merもしくは15merのIDH1由来のペプチドを合成し、コンピューターアルゴリズムもしくはin vitro実験を用いて、HLA-A*02:01もしくはHLA-DRB1*01:01に対する結合親和性を確認した。その結果、123~142番目周囲のアミノ酸から合成した15merのペプチドがHLA-DRB1*01:01に対して高い結合親和性を有することが分かった。そこで著者らは123~142番目のアミノ酸配列からなる20merのペプチド(以下、R132Hペプチド)を作製し、そのペプチドの免疫原性およびワクチンとしての有効性をマウスモデルで検証した。まず、R132Hペプチドが特異的なT細胞を誘導できるか否かと、HLA-class I 分子とHLA-class II 分子を遺伝子導入したマウスモデルで検討した。その結果、R132HペプチドはHLA-class II (DRB1*01:01)に提示され、誘導されたR132H特異的T細胞は、Th1型CD4陽性T細胞であることが分かった。さらに神経膠腫患者の末梢血中にR132Hペプチド特異的Tsaibou が存在することが明らかになった。このことから、R132HペプチドはIDH1タンパクのナチュラルプロセッシングにより産生されることが示唆された。さらに、R132Hペプチドを予防的にワクチンしたマウスに、変異型IDH1を強制発現させたマウス肉腫を接種すると肉腫の増殖が抑制されることが示された。その肉腫のTILを採取し検討すると、R132Hペプチドワクチンすることで、肉腫内にCD4陽性T細胞が浸潤し、腫瘍の増殖抑制に寄与していることが明らかとなった。これらの結果から、変異型IDH1由来のR132Hペプチドワクチンはがんワクチン療法として有用であることが示唆された。
  • 平山
  • 匂坂
  • 中根
  • 池田
  • 今村
12/5(金)
  • 担当者:MD Abu Sayem
  • 論文:
  • 要約:
  • 入江
  • Sayem
  • 黒田
  • 藤枝
  • 小島
11/28(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:
  • 要約:
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
11/14(金)
  • 担当者:入江 厚
  • 論文:Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch.
  • Masahata, K. et al.
  • Nature Communications 5: 3704, 2014 (April)
  • 要約:消化管関連リンパ組織(GALT)はIgA分泌組織を産生するが、虫垂リンパ組織(ceacal patch)の機能はよくわかっていない。本研究で著者らは、虫垂を除去した後腸内細菌叢を構築した無菌マウスを利用して、虫垂リンパ組織の機能を解析した。虫垂を除去したマウスでは、小腸と異なり、植菌後正常なレベルのIgA陽性細胞が大腸に集積するまでに、より長い時間を要した。この大腸でのIgA陽性細胞の減少に伴い、糞便中の細菌叢も変化した。光照射により色調が変化するKaedeの発現マウスや養子移入を利用する実験により、虫垂リンパ組織で産生されたIgA陽性細胞は大腸、小腸に移行するが、パイエル板で産生されたIgA陽性細胞はもっぱら小腸に移行することが示された。虫垂リンパ組織のIgA陽性細胞はCCR10を多く産生した。虫垂リンパ組織由来の樹状細胞と共培養すると、B細胞はCCR10を産生したが、パイエル板由来の樹状細胞との共培養では、CCR10の産生は認められなかった。以上より、虫垂リンパ組織は、大腸へ移行するIgA陽性細胞を産生する主要な組織であることがわかった。
  • 粟井
  • 藤枝
  • 小島
  • Sayem
11/7(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:
  • 平山
  • 匂坂
  • 中根
  • 池田
  • 今村

10/31(金)

  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:
  • 入江
  • Sayem
  • 黒田
  • 藤枝
10/24(金)
  • 担当者:小島 拓
  • 論文:Anti-CD47 antibody-mediated phagocytosis of cancer by macrophages primes an effective antitumor T-cell response
  • Diane Tseng, et al.
  • PNAS 110: 11103-11108, 2013
  • 要約:癌に対してT細胞応答が引き起こすことは、長期間にわたって治療ができる可能性があるが、効果的な抗腫瘍T細胞応答のために最適な抗原提示細胞がどのように利用されるのかは知られていない。本研究では、マクロファージによる抗CD47抗体媒介性の食作用が、抗腫瘍T細胞免疫応答を行うことができるということを示している。オボアルブミンモデル抗原系を用いて、マクロファージによる癌細胞の抗CD47抗体媒介性食作用は、OT-I T細胞(CD8+)のプライミングを増加させたが、OT-II T細胞(CD4+)のプライミングは減少させた。CD4+ T細胞応答はFoxP3陽性の制御性T細胞の減少によって特徴づけられた。抗CD47抗体媒介性の食作用を示すマクロファージはin vivoにおいて、細胞傷害性機能を発揮するCD8+ T細胞に対して初期抗原応答を示した。この応答は、腫瘍チャレンジから動物を守った。抗CD47抗体での治療は癌を貧食するマクロファージだけでなく、抗腫瘍細胞傷害性T細胞による免疫応答も可能にするということが分かった。
  • 千住
  • 池田
  • 今村
  • 平山
  • 匂坂
10/10(金)
  • 担当者:粟井 博丈
  • 論文:IL-21 is a central memory T cell-associated cytokine that inhibits the generation of pathogenic Th1/17 effector cells
  • IIko Kastirr, et al.
  • The Journal of Immunology 193: 3322-3331, 2014 (October)
  • 要約:インターロイキン21(IL-21)は近年、抗腫瘍T細胞免疫応答を刺激するサイトカインとして注目されている一方で、自己免疫応答やoncogenesisに関わるという側面を持つ。特に、IL-21はTh17細胞を増幅させる炎症性サイトカインとして知られ、T-bet/IFN-γ/GM-CSFを共発現する孤児免疫応答誘導性のT細胞の増加に関与すると考えられている。そのため、抗IL-21抗体の投与は、自己免疫疾患の治療オプションの候補となり得るが、IL-21のT細胞分化における詳細な機能は未だ明らかではない。本論文において筆者らは、IL-21はヒトセントラルメモリーT細胞(TCM)において、特に多く産生されることを見出している。さらに、IL-21はIL-12刺激により誘導されるが、一方でIFN-γを産生するTh1細胞の分化を抑制し、反対にT-betを強制発現するとIL-21の産生が抑えられるという現象から、ネガティブフィードバックループの一部を担うことを明らかにしている。さらに、筆者らは、IL-21はIL-6により誘導され、Th17細胞の分化に寄与するが、IL-10の産生を介してTh17細胞におけるIFN-γおよびGM-CSFの産生を抑制することを示している。以上より、これらの現象を介して、IL-21は、Th17細胞の分化を促進するが、IL-17とTFN-γを共発現する病原性Th17細胞の増幅を抑制しているという可能性が示唆された。これらの発見は、自己免疫疾患における抗IL-21抗体治療に対する臨床的意義を考える上で重要であるとともに、抗腫瘍免疫応答におけるIL-21の詳細な機能と、その応用を再検討する上でも考慮すべきである。
  • 粟井
  • 藤枝
  • 小島
  • Sayem

10/3(金)

  • 担当者:中根 未季
  • 論文:Cancer Immunotherapy Based on Mutation-Specific CD4+ T Cells in a Patient with Epithelial Cancer
  • Eric Tran, et al.
  • Science 344: 641-645, 2014(May)
  • 要約:ヒトは上皮癌に対する突然変異的なT細胞応答を開始するという証拠は少ない。我々は転移性胆管癌患者の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が、癌で発現したErbB2(アーブB2)相互作用タンパク質(ERBB21P)の変異を認識するCD4+ヘルパーT細胞(TH1)を含んでいることを証明するために、全エクソンシーケンスを使用した。患者は、突然変異的なTh1細胞を約25%含んでいるTILの養子移入の後に、疾患の長期安定化と病変の縮小を認めた。患者の疾患が進行した際に突然変異反応性Th1細胞を95%以上含んだTILで再治療を行うと腫瘍は再び腫瘍の縮小が認められた。これらの結果は、突然変異した抗原に対するCD4+ T細胞応答が、転移性上皮癌の縮小を得るために利用することができるという証拠となる。
  •  
  •  
Copyright(c) 2010 xxx All Rights Reserved.